プロセス目標のみの設定を避けること。成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事で何かしら目標を扱うケースは多くあるでしょう。
目標には3つの種類があります。今、自分たちが扱っているのはどの目標なのか?
今求められているのはどの目標なのか?
これらを把握する上で成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標の3つの目標について理解することは有用です。
成果目標 / Outcome Goal
成果目標は最終的に目指す成果に関する目標です。
例えば、「売上を向上させる。達成指標として売上を前年度比で50%増加させる」などです。
パフォーマンス目標 / Performance Goal
パフォーマンス目標は成果目標を達成するために必要となるパフォーマンスの水準に関する目標です。
例えば、先程の売上の成果目標に対するパフォーマンス目標であれば
- MQL(Marketing Qualified Lead)を前年度比で50%増加させる
- MQLはマーケティング活動で獲得した確度の高い見込み客です
- SQL(Sales Qualified Lead)を前年度比で50%増加させる
- SQLは営業活動で獲得した確度の高い見込み客です
などです。
プロセス目標
プロセス目標はパフォーマンス目標の達成に向けて行う活動に関する目標です。
例えば、先程のSQLに関するパフォーマンス目標に対するプロセス目標であれば
- 架電営業の確度を高めるため、マーケティングから引き継ぐMQLに関する情報連携を強化する
- シニアセールスの知見を元にインサイドセールスのトークスクリプトのノウハウをジュニアセールスに移転可能にする
- 架電の録音共有システムの導入で、架電内容のふりかえりから架電スキルの強化を可能にする
- マーケティングから引き継ぐMQLをEnterpriseとSMBに分割し、それぞれの顧客に対するアプローチに特化した2つのチーム体制にする
- 1メンバーあたりの架電量を昨年比で120%にする
などです。
プロセス目標はそれを実施したとしても成果目標の向上やパフォーマンス目標の向上につながるとは限りません。うまくいかなかった場合は他の活動に関わるプロセス目標に取り組む必要があります。
成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標の例
成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標についていくつかの例を紹介します。
The Model型の営業組織に関する目標の例
先ほど紹介した例にあたりますが、The Model型の営業組織に関する目標の例です。
- 営業部
- 成果目標
- 売上を向上させる。達成指標として売上を前年度比で50%増加させる
- 成果目標
- 営業部 マーケティングチーム
- パフォーマンス目標
- MQL(Marketing Qualified Lead)を前年度比で50%増加させる
- パフォーマンス目標
- 営業部 インサイドセールスチーム
- パフォーマンス目標
- SQL(Sales Qualified Lead)を前年度比で50%増加させる
- プロセス目標
- 架電営業の確度を高めるため、マーケティングから引き継ぐMQLに関する情報連携を強化する
- シニアセールスの知見を元にインサイドセールスのトークスクリプトのノウハウをジュニアセールスに移転可能にする
- 架電の録音共有システムの導入で、架電内容のふりかえりから架電スキルの強化を可能にする
- マーケティングから引き継ぐMQLをEnterpriseとSMBに分割し、それぞれの顧客に対するアプローチに特化した2つのチーム体制にする
- 1メンバーあたりの架電量を昨年比で120%にする
- パフォーマンス目標
グループとメンバーの目標の例
採用グループと各メンバーの目標の例です。
- 採用グループ
- 成果目標
- 中途社員を年間50名採用する
- パフォーマンス目標
- 内定承諾率を75%以上にする
- 選考開始から内定受諾までの期間を1ヶ月以内にする
- 内定承諾率を75%以上にする
- プロセス目標
- すべての選考ステップで候補者さんの転職希望条件のヒアリングを確実に実施する
- 1次選考、2次選考等の選考間での選考情報の引き継ぎを確実にする
- 選考プロセス全体を短くするため日程調整ツールを導入する
- 成果目標
- 採用グループのメンバー
- このメンバーは「日程調整ツールの導入」を担当する
- パフォーマンス目標
- リーダーシップの向上のために小規模施策を単独で推進可能になる
- 日程調整ツールの導入でこれを実現する
- リーダーシップの向上のために小規模施策を単独で推進可能になる
- プロセス目標
- 日程調整ツールの導入タスクフォースとして2名のメンバーを獲得する
- タスクフォースのキックオフでメンバーに目的を伝え、熱意を持って取り組んでもらえる状態にする
- ツール導入の全体スケジュールを立てる
- ツール選定を実施する
- ツールの導入契約を行う
- ツールの仕様を把握する
- ツールを用いた運用プロセスを設計する
- ツールの利用者向けの利用手順書を作成する
- ツールの利用者向けの説明会を実施する
- ツールの導入を実現する
- ツールの導入の実現後に、メンバーと打ち上げを実施し、成果をともに祝い、成功体験を共有する
- ツールの導入に関わる貢献を全社に周知し、関係者が承認を得られるようにする
こういったグループとメンバーの構成の場合、ジュニアなメンバーは成果目標やパフォーマンス目標の責任は持っていませんが、シニアな専門家やマネージャー等は成果目標やパフォーマンス目標の責任を担うことが多いでしょう。
そのため以下のようなバリエーションがありえるでしょう。
- A トップマネージャーが組織の成果目標に責任を持ち、中間のマネージャーやシニアなメンバーがパフォーマンス目標に責任を持つ。中間のマネージャーやシニアなメンバーはさらにその責任をやり遂げるために必要な個人のパフォーマンス目標、プロセス目標を持つ
- B 小規模な部門のマネージャーが組織の成果目標、パフォーマンス目標に責任を持ち、パフォーマンス目標の達成に必要となるプロセス目標の一部をジュニアなメンバーにアサインする。ジュニアなメンバーはそのプロセスを成し遂げるために個人の成長に関わるパフォーマンス目標、プロセス目標を持つ
等級制度を導入している場合、一般にリーダー・マネージャー・シニアクラスに相当するグレードの人はAを求められ、それ以外のジュニア〜一般の担当者の場合はBを求められるケースが多いでしょう。
まとめ
成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標についてまとめました。
例えば、組織成果に関するOKRを設定する場合、成果目標を設定することもあれば、中間目標としてのパフォーマンス目標を設定することもあるでしょう。そして、それらの成果目標・パフォーマンス目標を達成するために実際の活動としてプロセス目標を設定していきます。
また、それらの組織成果を生み出すために必要となる個人のスキルやマインドの成長のための目標を設定する場合、各スキルやマインドに関するパフォーマンス目標を定め、それを実現するためのプロセス目標を設定します。
ありがちなのは、組織の目標にしても個人の目標にしてもプロセス目標のみを設定するケースです。
- 組織目標でプロセス目標のみの例 - 架電を1日20件以上実施する
- 個人目標でプロセス目標のみの例 - 毎日英単語を10個以上覚える
プロセス活動は単なる活動であり、それ自体はパフォーマンスに向上につながる保証はありません。また、活動のみを確認してもパフォーマンスが向上したのかどうか判別できません。そのため、成果目標・パフォーマンス目標・プロセス目標の違いを理解し、関連性を踏まえた上で目標を設定していく必要があるでしょう。